“11”はなぜAクイックなのか

ブロック・システムの話を受けて、 デディケート・シフト についてその採用理由等を考えてみようと思っていましたが、そのためには スロットテンポ の話がどうしても必要になるので、今回はその話です。

ネットでバレーボールの話題を見ていると(余談ですが、ブログ主はよくTwitterの #vabotter タグを見ています)、攻撃を”11″や”52″といった2桁の数字で表現しているケースをしばしば見かけます。これはどんな意味を持っているのでしょうか。

実はこの2桁の数字、前は攻撃がなされたスロット後ろはその攻撃のテンポを表しています。”11″ならスロット1からファースト・テンポ、”52″ならスロット5からセカンド・テンポの攻撃がなされたということです。以下、スロットとテンポについてみていきます。

◆スロット
スロットにはいくつか表現方法があるようですが、当ブログではVolleypediaに準じてアリー・セリンジャー氏の考えを採用し、下図のように表現します。
スロット説明図これを前提とすると、いわゆるAクイックはスロット1、Bクイックはスロット3、CクイックはスロットAからの攻撃ということになります。初めて目にした方は「CなのにA???」と混乱するかもしれませんが、すぐに慣れると思います。
※スロットには絶対スロットと流動スロット(相対スロット)という概念もありますが、それについては必要が生じた機会に触れる予定です。興味のある方はGoogle等で検索してみてください

◆テンポ
次にテンポですが、バレーボールにおけるテンポは一般的な用法での「リズム」「テンポ」とは違う意味で使われます。またファースト・テンポは速攻、セカンド・テンポは高いトスといった説明もあるようですが、トスの高さとバレーボールにおけるテンポは無関係です。テンポとはアタッカーが助走を開始するタイミングとセッターがセットアップするタイミングの関係を表す概念で、大きく3つに、細かくは4つに分かれます。

ファースト・テンポマイナス・テンポ助走動作開始後にセットアップが行われ、かつ、セットアップ時にはアタッカーの踏切が完了しているもの(テンポ0)
狭義のファースト・テンポ助走開始後にセットアップが行われ、かつ、セットアップ時にはまだアタッカーの踏切が完了していないもの(テンポ1)
セカンド・テンポ助走動作開始とセットアップがほぼ同時に行われるもの(テンポ2)
サード・テンポセットアップ後に助走動作が開始されるもの(テンポ3)

テンポのイメージ図
マイナス・テンポ

狭義のファースト・テンポ



(1:41~)


(1:05~)

セカンド・テンポ

サード・テンポ

◆攻撃の表し方
以上を前提とすると、たとえばBクイックはスロット3からのファースト・テンポの攻撃なので”31″になります。またこのBクイックがマイナス・テンポであった場合には、マイナス・テンポはテンポ0とも言われるため”30″(あまり見かけませんが)となり、時間差なら”32″や”12″( B前時間差 )、オープン攻撃や二段がレフトからならば”53″、ライトからならば”C3″となるわけです。

なお、この表現方法ではAクイックも真ん中からのファースト・テンポのバックアタックもどちらも”11″となるため、当ブログではAクイックなら”11″、バックアタックの場合は”11b”と表記する予定です。