大会は誰のためのものか

春高バレーがなんとか無事に終わってほぼ1ヵ月。今回は、このタイミングでNumberWebに掲載された記事の話です。

【直前の“棄権”通告に泣き崩れ…春高バレー前王者・東山に何が起きていたか「これで終わりなんか、と思うとね」】
https://number.bunshun.jp/articles/-/846900

最初に断っておくと、東山高校を欠場させた大会本部の判断そのものは正しかったと思っています。ここでは具体的には挙げませんが、他校でも地元に戻った後に新型コロナウイルスに感染していたことが判明し、実質的にクラスターとなっていたケースも報道されたぐらいですから。ただこの記事を読んで、大会を運営する側の考えがあまりに甘かったのではないか、そのためにこの1年練習試合もろくに行えない環境で春高という舞台を目指して必死に努力してきた選手たちに、与えなくてよいダメージを与えてしまったと感じています。

記事によれば、事前に参加校に渡された大会規定では「大会期間中にチームに発熱者が出た場合、試合当日に熱が下がらなければ該当者をホテルなどに隔離する」といったことが定められていただけで、大会辞退や棄権が義務づけられていたわけではなかったそうです。そこで東山高校は、試合の前夜に発熱した選手を隔離し、他の選手とは接触させない処置をとりました。また大会当日も朝一番に大会本部に一連の事情、大会規定に則る処置を行うこと等を報告・説明し、大会本部も出場には問題なしとの判断を下したことになっています。しかし結局、ウォーミングアップを行った後に欠場の指示が大会本部から伝えられ、東山高校は「棄権」。

あれこれ思うところはありますが、一番理解に苦しむのは大会規定で発熱者が出た場合、そのチームの出場についてどのように判断するかということが明確にされていなかったことです。バレーボールが屋内競技である点や地方から参加しているチームは必然的に宿舎で選手同士が接触する時間が長くなることから生じるであろうリスクは、最初からわかりきっていたはずです。であれば、残念ながら感染者が出た場合にはチームメイトは要観察扱いあるいは濃厚接触者として試合が出来る状況ではないことも明らかでした。
また大会直前には新型コロナウイルスの感染者が爆発的に増えていたこと、Vリーグでもチームに感染者が出て試合が中止になっていたことからしても、感染者が出た場合の規定はもっと厳格に決めておくべきでした。

大会規定がなぜこのようないい加減なものになったのかはわかりません。しかし、そこには少なくともその舞台を目指してきた選手たちやスポーツそのものに対する真摯な態度は微塵も感じられません。今回のことで傷ついた選手たちのことはもう取り返しがつきませんが、せめて同じことが今後二度と繰り返されることのないよう、大会規定が今回のようなものになった原因を見つめ直し今後に活かしてもらいたいと思います。