0-13

春高バレーもいよいよ本日(1/10)、決勝戦が行われ全日程が終了します。
大会の途中で緊急事態宣言が出され、どうなるのかと心配もしましたが、無事に終えられそうなのは本当によかったと思います。

さてその大会の準決勝において、衝撃的な試合展開がありました。女子準決勝第1試合、東九州龍谷高校(以下東龍)対大阪国際滝井高校(以下滝井)の第1セット出だしのことです。滝井が点を重ね、あれよあれよという間に点数が0-13となったのです。 ※試合動画はこちら

昔のように サイドアウト制 の試合なら、こういったことが起こることはありました。実際に全日本男子(現日本代表男子)チームも、外国勢との試合で0-15でセットを取られたことがあります。しかしご存じのように、今のバレーボールは ラリーポイント制 です。それでも両チームの間に大きな力の差があるようなケースなら大きな得点差がつくことも考えられますが、この試合は全国大会の準決勝です。点差だけを見れば、本当に目を疑う状況です。ただ、13点差がつくほどのことかどうかは別として、東龍のブロックは滝井に好きなようにやられても仕方がないと思われるものだったのも確かです。

東龍はセッターが前衛の時にはブロックから外し、ミドルブロッカー(MB)とアウトサイドヒッター(OH)の二人で相手の攻撃に対応する戦術をとっていました。またその二人を スプレッド・シフト で配置していました。そのため滝井の真ん中の攻撃にはほぼノーブロック、相手のエースがレフトから打ってくる時にも1枚ブロックとなってしまいました。このレベルまで勝ち進んでくるチームを相手にした場合、サイドからの攻撃に対して1枚ブロックではまず捕まえることは出来ません。結果的に滝井は真ん中からの攻撃はもちろん、サイドからの攻撃も1枚ブロックをものともせずに決めていました。

一方で滝井は東龍の大黒柱である”小さな巨人”、室岡選手にしっかりと2枚ブロックをつけていました。室岡選手もなんとかブロックを弾いて得点にしようと打ち方を工夫しているのが随所に見られましたが、ワンタッチボールをことごとく拾われてしまいました。

背の低いことが多いセッターをブロックから外して2枚で対処する、という戦術は特に女子では以前は珍しくありませんでしたし、それこそ女子日本代表でも竹下佳江さんがセッターの時に見られることがありました。ただ女子でも シンクロ攻撃 により3枚、4枚での攻撃が珍しくなくなってきている今、このブロック戦術では対処出来ません。それが象徴するような試合の出だしだったように思います。

では現在はどのようなブロック戦術が一般的であり、どうするべきなのか。次回以降はしばらくの間、ブロックに関する話をしていきたいと思います。

次の記事

ブロック・シフト