ブロック・シフト

テレビ中継等でバレーボールを見ていると、「 バンチリードブロック」という言葉を耳にすることがあります。またハイキュー!!の読者なら、作中で”鉄壁”、伊達工がやっているブロックとしておなじみだと思います。では「バンチリードブロック」とはどういうブロックなんでしょうか。

一時の地上波バレーボール中継でバンチリードブロックという単語がワンセットでよく使われていた時期があるため、「バンチリード」というブロックがあると思っている人もいるかもしれませんが、これは「 バンチ・シフト 」というブロッカーの配置と「 リード・ブロック 」というブロックの跳び方という2つの内容を表しています。

そこでまず今回はブロッカーの配置に触れようと思います。ブロッカーの配置は何種類かありますが、一般的なのはバンチ・シフトとスプレッド・シフトの2つでしょう。
※バンチ・シフト
バンチ・シフト

スプレッド・シフト
スプレッド・シフト

この他に デディケート・シフト (下図)もありますが、これはバンチ・シフトの一種だと理解しています。
デディケート・シフト

またデディケート・シフトを基本としつつ、自陣レフト1枚をリリースして相手のライト側の攻撃に備える配置もあります。さらには スタック・ブロック と言われるものもありますが、これはもうほぼ姿を消したため、これ以上は触れません。

どのブロックシフトもそれぞれ長所・短所がありますが、ブロックとフロアの連携(トータル・ディフェンス)を考えた時に揃わないブロックは攻撃側に有利に作用することから、ブロックを複数枚揃えることがどうしても難しいスプレッド・シフトよりも揃えやすいバンチ・シフトを採用する方針の方が優位に見えます。
※話がそれますが、先日の記事で取り上げた東龍は2枚のブロックでスプレッドだったため、どれだけセンター攻撃が通りやすかったかということも上の図からイメージできると思います

個人的な見方としては、スプレッド・シフトはバックの攻撃参加がなかった、珍しかった時代で、特に 時間差攻撃 に対処するための方法としてマンツーマンの意識でアタッカーを追いかける時代には有効な面もあったのだと思います。しかし今は技術的なレベルが高いカテゴリーになればなるほど、リード・ブロックによって時間差攻撃は効果を発揮しづらい現状があります。さらに4枚攻撃が一般的になっている以上、マンツーマンでは必ずノーマークのアタッカーがいるという大問題もあります。であるなら、バンチ・シフトを基本として採用する流れになるのも自然なことだと頷けます。

ブロッカーの配置に関する話はこんなところでしょうか。
次はブロックの跳び方の話をしたいと思います。

 

【余談】先ほど「マンツーマンの意識」と書きましたが、バレーボールにおいてマンツーマンの概念って難しいと思うのです。
B前時間差に対するブロック

たとえばこのようにアタッカーの助走ラインがクロスする場合、マンツーマンならブロッカー側もミドルとライトが入れ替わることになります。ただ実際にはその後の攻撃も考えて、ブロッカーがポジションを入れ替えることなくマークの受け渡しを行い、ミドルとライトの位置関係は変わらないはずなのです。こういったことを考えると、マークの受け渡しが発生するのにマンツーマン?だとか、でもそれはクロスする時だけで基本は1対1で追いかけるわけだからゾーンではないよね?となり、はてさてなんと表現するべきなのか、考えがなかなかまとまりません。そのため、「マンツーマンの意識でアタッカーを追いかける」という回りくどい表現になりました。