コミット、ゲス、リード、さて仲間はずれは?(※1/15 動画リンク追記)

前回のブロック・シフトに続いて、今回はブロックの跳び方に関する話になります。

ブロックの跳び方には、 コミット・ブロックゲス・ブロックリード・ブロック があります。

詳しい内容についてはe-Volleypediaを見ていただくとして、簡単にそれぞれを説明すると
コミット・ブロック 自分がマークする相手の動きに合わせて跳ぶブロック
ゲス・ブロック ブロッカーが相手の攻撃を予測して跳ぶブロック
リード・ブロック 相手のどのアタッカーにセットアップされたかを見てから跳ぶブロック
となります。

Aパス なら相手の速攻にコミット、という約束事で成功した例

Aパス なら相手の速攻にコミット、という約束事で失敗した例

リード・ブロックで相手MBに釣られずに2枚ブロックでシャットアウトした例

よく地上波バレーボール中継で「ブロックは読み」という解説者がいるのと、リード・ブロックのreadは日本語にすると「読む」という意味で使われることが多いため、「リード・ブロックは相手の動きをよく見て、誰にボールが上がるかを読んで(推測して)跳ぶブロック」と捉えているケースが多いように感じますが、これは推測(guess)によるブロックなので、まさにゲス・ブロックです。ハイキュー!!では、白鳥沢学園の天童選手がやっていたブロックとして描かれていました。

ところでチームとしてのディフェンス、すなわちブロックとフロアの連携(トータル・ディフェンス)を考えた場合、この3つのなかでどのブロックが異質なのでしょうか。
自分が ディグ をする場合を考えれば、基本としてはブロッカーがいないコースに構えるのが基本になります。この時、コミット・ブロックであれば相手に合わせてブロッカーが跳ぶため、ブロッカーがどこで跳ぶかは相手のアタッカーを見ていればわかります。あとはブロッカーがどのコースを押さえるか、という約束事がチーム内で出来ていれば拾うべきコースが必然的に決まってきます。もっともブロッカーが跳んだ相手が必ず打ってくるとは限らないという問題点はありますが。
リード・ブロックはいわば後出しじゃんけんなので、打ってくるアタッカーがわかっている状態でブロックが跳びます。コミットの場合同様、ブロッカーの押さえるコースに関する約束事が出来ていれば、必然的に拾うべきコースも決まってきます。
これらに対してゲス・ブロックの場合はどうでしょうか。ブロッカーは自分の読み(推測・判断)で誰に跳ぶかを決めます。ところがこの読みは状況に応じてブロッカーが個人で判断するため、チームの他の5人と共有出来ません。またその人以外のブロッカーは違う読みをしている可能性も十分あります。そうなると、フロアを守る側としては、誰が誰に対してブロックに跳ぶかといったことがわからない状態で守ることになります。そして読みが外れた場合にはブロックがいないため、全てのコースを守らなければなりません。

このように考えるとブロックとフロアで連携した組織的な守備をしようとした場合、コミット、リードとゲスは異質なものであるということがわかります。言い方を変えるとブロッカーがゲスで跳ぶ限り、組織的な守備は期待できないということです。これは現代のバレーボールにおいて致命的なことではないかと思います。

では現代のバレーボールにおいてブロック・シフトとブロックの跳び方はどのように組み合わされてディフェンスが構築されているのか、について次回触れたいと思います。