だから僕、言いましたよね?

今日(7/30)、男子バレー日本代表は2018年世界バレー王者ポーランド代表(2014年とあわせて連覇中)と対決し、0-3のストレート負けを喫しました。現在の日本代表は10年ほど前と比べると、当時とは異なり正しい方向へ進んでおり、かなり強くなってきています。ただ一昨日のイタリア、そして今日のポーランドといった世界のトップを争う強豪との比較になると、まだまだ及ばない面が多いのも事実です。

とはいうものの、勝負の世界は必ずしも実力通りの結果にならないというのはご存じの通りです。そして普段からバレーボールという競技をある程度見ている方やハイキュー!!の愛読者なら、今日の試合はどのセットも日本が取れるチャンスがあったことは、見ていて明らかだったと思います。

第1セットを振り返ってみると、19-19からリードされて21-22で日本のサーブとなった場面。この時、サーバーは山内選手でした。山内選手も決してサーブが悪い選手ではありませんが、彼が放ったジャンプ・フローター・サーブはオーバーハンドでの レセプション で処理され、あっさりとサイドアウトを取られてしまいました。
第2セットでは18-21から始まった小野寺選手のサーブの場面。1本目は石川選手の見事なブロックにより ブレイク できましたが、19-21での2本目とあわせて、どちらも4枚の シンクロ攻撃 が出来るレベルで処理されてしまい、19-22となりました。
第3セットでは21-20となんとここまでなんとかリードして山内選手のサーブを迎えた場面。 Aパス で処理されてしまいきれいな51が決まって追いつかれ、結局24-26と逆転されてしまいました。

ここで取り上げた各場面、誰がどう見ても強力なサーブを放つリリーフ・サーバーの出番なのではないかと思うのです。今日のベンチにいたメンバーで言えば、おそらくもっともサーブが強いのは清水選手でしょうか。しかし彼はリリーフ・サーバーとして使われることはまず期待できないと思われます。2枚替えの要員として、固定的な役目を負わされていますので。そうなると、もう選択肢が存在しません。だから東京オリンピックでの日本代表の戦いを見ていて、今日ほど「ここで柳田選手さえいればなあ!」と思ったことはありませんでした。

確かに今の代表にいる各OHと比較した場合、総合力で彼が劣るのは否定できないでしょう。しかしこれはあくまで私見にすぎませんが、そういったトータルバランスに優れた選手ばかりで構成しても問題ないのは本当にごく一部のトップレベルのチームであって、まだまだそこにチャレンジする立場のチームには何かに特化したスペシャリストが必要な場面があると思うのです。そして少なくともサーブという面においては、彼は世界で勝負できるだけのスキルがあると信じています。

もちろん柳田選手がいてサーブを打っていたら勝てたのか、というとそんな単純な話ではないのは百も承知です。仮にそれで第1セットが取れたとしても、第2セット以降は今日の流れとはガラッと変わったかもしれません。第3セットの場面をサーブで押し切れたとしても、第4セットはあっさりとられてしまったかもしれません。バレーボールはセット・スポーツですから、全ては「たられば」にすぎません。

それでもあれらの場面で日本を代表するサーブのスペシャリストが出てきたら、どれほどワクワクしたことだろうか、仮に1セットも取れなかったとしてもどれだけ盛り上がっただろうか、そしてもしそのうちの1回でも成功していたら、その後の試合の流れはどうなっていたんだろうか、と考えてしまいます。

次のイラン戦は両チームにとって予選リーグ突破を賭けた戦いになります。恐らく勝った方がプールA3位で決勝トーナメント進出、負けた方は予選リーグで敗退になります。その意味で、今日以上に勝負所で強力なリリーフ・サーバーがほしい場面が出てくることは十分考えられます。そしてその時に全てを賭けて、誰をベンチは送り出すのでしょうか。「あいつに賭けたんだから、結果がどちらに出ても仕方ない。あいつ以上に期待できる選手は日本にいなかったのだから」と思えるでしょうか。

だから僕、言いましたよね?