コートポジション
東京オリンピックを挟んで随分間が開いてしまいましたが、これまでブロックを起点とするフロアのシフトを含めたトータルディフェンスの話、そこからの トランジション 局面におけるシンクロ攻撃やその効果をさらに高めるためのトスの軌道の話などをしてきました。その流れを受けて、今後しばらくはそのラリーの決着がついた後に巡ってくるサーブ及び レセプション の話題を扱いたいと思います。
そこで今回はまずその前提として、ご存じの方も多いかもしれませんがサーブローテーションを示す用語とその前提となるコートポジションについて触れようと思います。
バレー中継や配信を見ているときに「このセットはS6スタート」とか「日本はS1ローテが苦手」などというコメントを聞いたことのある方も多いでしょう。このS1やS6といった表現にはコートポジションが関係しています。またコートポジションには、サーブローテーションなどを示すときによく使うコートを6つのゾーンに分けるものと、サーブの狙い目やディガーの配置などでよく使う9つのゾーンに分けるものがあります。
※現場のアナリストの方々がデータを収集する際にはもっと細かく分類していると聞きますが、ここでは9分割までにとどめます
コートポジション(6分割版)
コートポジション(9分割版)
サーブローテーションを表すときによく使われる「S1ローテ」や「S6ローテ」というのは、上記の6分割版でS(セッター)がどこからそのセットをスタートするか、を示します。一般的にセッターは比較的背が低いことが多いため、ブロックの穴になりやすいということがあります。そこで自分たちのサーブからそのセットが始まる場合には、ブロックに跳ぶ必要のある前衛の時間がなるべく短くなるよう、セッターはゾーン1に入るケースが多いわけです。これがS1ローテです。
逆に相手のサーブから始まる場合には、バレーボールでは基本的にレセプション側が有利でサイドアウト率が高いため、サイトアウトを取った後の最初のサーブがセッターになるようにゾーン2でスタートさせたりします。S2ローテと呼ばれるのがこれです。
もちろんセッターのブロックが低いとは限りませんし、相手のスパイカーの誰に自チームのブロッカーをどのようにマッチアップさせたいか、ということも関係してきますので、S4スタートなどということもあります。そしてこのサーブローテーションは、現在のように3人でレセプションを担当することが一般的な場合においても、レセプションにおけるフォーメーション、アタッカーの助走の取り方、その助走を潰すためのサーブの狙い目といった様々なことに影響してきます。
次回以降は、サーブローテーションごとにそういった点について考えていきたいと思います。