S1ローテーション

前回のコートポジションの話からの流れで、今回はS1ローテーション(以下S1ローテ)における レセプション アタック(サーブを受けて行う攻撃)に関する話題です。
※追記:バレーボールのローテーションには フロント・オーダーバック・オーダー がありますがこのブログではバック・オーダーを前提として話を進めています

まずS1ローテの確認です。
S1ローテもちろん、実際にはこのままのフォーメーションでレセプションをするわけではありません。では、どのようなフォーメーションを敷くのでしょうか。

まずルール上、絶対に守らなくてはならない事項があります。上図のS1ローテにおいては
1.S、L、後衛OHはそれぞれ、前衛OH、MB、OPよりも後ろにいなければならない
2.OP、MB、前衛OH並びに後衛OH、L、Sという横並びの順番を変えてはならない
という2つは必ず守らなければなりません。これに加えて、セッターが素早く前に出てセットアップしやすいようにする必要があります。

W型レセプション(S1)

W型フォーメーション(S1)

ブログ主がバレーボールを始めた頃は、レセプションを5人で担当するW型のフォーメーションが一般的でした(しかもリベロというポジションはまだありませんでした!)。上図のように、セッター以外の5人がカシオペア座のように並んでレセプションを行っていたのです。

現在一般的になっているレセプションのフォーメーションとはかなり違いますよね。現在のように3名でレセプションを担当するようになる流れを生みだしたのは、ロサンゼルスオリンピックのアメリカ男子代表チームだったのではないかと思います。当時のアメリカ男子代表チームは、先日の東京オリンピックでアメリカ女子代表チームの監督として金メダルに輝いたカーチ・キライがOHとして、もう一人の選手と二人でレセプションを担当するチームだったのです。レセプションを二人で行うというとびっくりする方も多いかもしれませんが、当時は

1.コートのエンドライン右側から3mの範囲でしかサーブが打てなかった
2.当時のサーブはジャンプをしないで打つラウンドハウス・サーブやフローター・サーブがほとんどであり、しかもサーブがネットに触れるとフォルトとなったため、サーブの軌道が全体的に高かった

ということから、レセプションが苦手な選手にやらせて乱されるよりも、得意な選手二人で担当した方がよいのでは?という考え方だったようです。そしてこのアメリカ男子代表チームがロサンゼルスオリンピックで金メダルを獲得し、W型のフォーメーションが必然ではないということが証明されました。
※女子ですが、江上(現丸山)由美選手のラウンドハウス・サーブ(4:40~)

さらにそのロサンゼルスオリンピックではカナダのポール・グラットン選手(古いファンの方なら、サントリーでプレーしていた姿を覚えているかも?)がジャンプ・サーブを打つなど新しい時代の予兆が感じられていましたし、その後のルール改正によりサーブはどんどん強力になっていき、現在のような前衛・後衛OH、Lの3名でレセプションを行うのが一般的となりました。

ではS1ローテにおけるレセプションフォーメーションはどのようになるのでしょうか。前後、左右の関係を守り、かつレセプション担当の3人の視界をなるべく妨げないようにということを考えると、下図のようになります。

レセプションのフォーメーション(S1)

現在の一般的なレセプションフォーメーション(S1)

ところで、日本男子代表チームはこのS1ローテが苦手だとよく言われます。そこで日本男子代表のようにOP
が左打ちだという前提で、S1ローテにおけるレセプションアタックがどう行われようとするのか、またその思い通りにさせないためにサーブを打つ側はどんなことを考えどんな場所をねらってサーブを打ってくるのか、ということを次回は考えたいと思います。

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