S1ローテに対するサーブ

前回の記事では、S1ローテにおける レセプション のフォーメーションについて扱いました。今回はS1ローテにおけるサーブからレセプションアタックまでの攻防について考えてみたいと思います。

まずS1ローテの復習です。

レセプションのフォーメーション(S1)

現在の一般的なレセプションフォーメーション(S1)

さてサーブを打つ側はどんなことを考えるのでしょうか。サービスエースが取れればもちろん最高ですが、まず考えるのは相手の シンクロ攻撃 の枚数をいかに減らすか、ということでしょう。またコートの幅をめいっぱい使われると リード・ブロック での対応が難しくなるので、相手の攻撃してくる スロット を可能な限り限定したいところです。そう考えれば、ポジション2の前衛OHを狙おうという考え方が浮かびます。
※同時にポジション2の前衛OHがレセプションする状況では、ボールが原則として自陣レフト側を向いているセッターの背後から来ることになるため、味方アタッカー・相手コートの状況を観察しにくくなるという効果もあります

1.ポジション2の前衛OHを前につり出しレセプションをさせることで、助走させない
前衛OH潰しのサーブ
2.仮にリベロがカバーしても、リベロがライトから打つ前衛OHの助走コースを塞げば同様の効果が得られる
前衛OHの助走路潰し
3.リベロがカバーしたときに前衛OHがレフト側に移動すると、攻撃するスロットの幅が大きく限定される
スロット限定
1の狙いは前衛OHに助走をさせないことで攻撃参加の機会を奪う、つまりブロック3枚に対して攻撃4枚という数的優位を作らせないことを狙っています。2も同様です。また仮に前衛OHがライト側に移動して攻撃参加をしたとしても、ライト側からの攻撃では本来の力をフルに発揮することは難しいという面があります。
3は4枚攻撃が可能にはなりますが攻撃されるスロットの幅が限定されているため、せっかくの数的優位を有効に利用できません。もちろんMBがライト側に回って攻撃することは可能ですが、その場合もブロックフォローのために前に出ているはずのリベロとの位置関係が問題になってくるでしょう。

言うまでもなくサーバーの得意なサーブのコースや打ち方、その時の試合状況で狙いは変わってくるわけですが、基本的な狙い所はこのような感じになります。そして何よりもこれはレセプションが大きく乱されなかった場合の話であって、大きく乱されてハイセットからの攻撃になった場合には、通常、チームでもっとも攻撃力のあるアタッカーのOPがレフトから打たざるを得ず非常に苦しいことになるわけです。※前回触れたように、OPは左打ちという前提です
そういった意味でも、S1ローテにおいてはポジション2の前衛OHの選手の負担はかなり大きいと言えると思います。

ではレセプション側はどのように対処してサイドアウトを取ろうとするのか、次回はこれについて見ていく予定です。