バレー界を未来へつなぐために
2022年が始まって早いものでそろそろ2週間になります。今年もよろしくお願いします。
ところでネットを見ていたところ、興味深い記事が2件ありました。1つ目は春高バレーを扱ったNumber Webの記事(https://number.bunshun.jp/articles/-/851582)、もう1つは昨年末に記事にしたビーチバレーボールの不祥事に関係した日本バレーボール協会に関する記事(https://hochi.news/articles/20220111-OHT1T51193.html)です。
今年の春高バレーは将来が楽しみな選手が大変多く、触れたいこともたくさんあったのですが、そんな彼らが活躍する場が失われないためにも、今回は2つ目の記事に関係する話題を取り上げたいと思います。
まずこの記事を読んだ人は、日本バレーボール協会に対する強い批判がなされていることに驚くとともに、「え?こんなどうしようもない組織だったの?そんな話、今まで聞いたこともなかったのに?」という疑問を持つかもしれません。日本バレーボール協会の体質に関しては、以前から鋭く批判する声も上がっていたのは事実です。しかしその批判がバレーボールの話題を扱うメディアに登場することはほとんどなかったため、ネットでそういった声を上げている方々のブログやSNSなどを追いかけている人以外にはほとんど知られていなかったのが実情です。
これには恐らく、協会とメディアの力関係が大きく影響しているものと思われます。協会のご機嫌を損ねるような記事を書けば取材に影響する、場合によっては記事が出せなくなるということであれば、タブーとされるものが生じるのは容易に想像できます。
さて、今回取り上げた記事の前提となるビーチバレーボールの不祥事ですが、昨年末の記事で2回に渡ってその報告書の内容を紹介しました(これとこれ)。日本バレーボール協会の対応は本当にひどいものでした。
1.ビーチバレーボールの大会エントリー等の実務の担当者が不在となったにもかかわらず、必要な手当を行わなかった。
2.問題なかったはずのキャンセルメールを放置し、キャンセルにより代わりに出場できるはずだったチームの出場機会を奪った
3.医師の診断書を偽造し、それに必要な医師のサインも似せてサインした(刑法159条第1項の構成要件該当性あり)
4.手続ミスを適切に報告せず、一部のみに行った
5.診断書偽造の事実が協会の会長や事務局長らに認識された後も、コンプライアンス委員会への報告は行われなかった
6.記者会見での想定問答集には診断書偽造に関する回答も用意してあったが、質問されなかったことをいいことにその場では公表しなかった
7.JVAコンプライアンス委員会では診断書偽造の件は認識されていたものの、その件に関する審議すらされなかった
特に酷いのは、診断書偽造の事実が2020年12月1,2日頃までに会長をはじめとする役員に認識されていたにもかかわらず、公表されたのが2021年9月30日とほぼ10ヵ月もかかったこと、またJVAコンプライアンス委員会が診断書偽造の件を審議すらしなかったことでしょう。JVAコンプライアンス委員会の面々はもしかすると、コンプライアンスという言葉の意味が「法令遵守」であることを知らなかったのかもしれません。
こういった隠蔽が行われた背景にあるのが、今回の記事に書かれている日本バレーボール協会の体質でしょう。協会の運営を思い通りに行いたいがために、理事を選ぶときに理事会で会長に対して意見する人、特に耳の痛いことをいう人を外す、以前は公開していた理事会も非公開とするなど、もはや公益財団法人としての体をなしているとは思えません。
東京オリンピックでは男子代表が素晴らしい健闘を見せ、また春高バレーにおいても楽しみな選手がたくさん出てきました。男子バレーは今、正しい方向へ進んでおり、またそう簡単に世界でメダルを争うレベルには到達できないとしても、そこへ上がっていくための材料は少しずつ揃いつつあります。
しかしバレーボール界を統括する日本バレーボール協会がこのままの状態では、バレーボールの未来を日本バレーボール協会が潰す未来しか見えてこないような気がしてなりません。
以前はプロリーグといえば野球そしてサッカーぐらいでしたが、現在はバスケットボールやラグビーを始め次々と新しいリーグが立ち上がってきており、その中でも特にBリーグなどは大会運営や興行、注目の集め方という面においてバレーボール界も学ぶべきところがたくさんあります。
現在、そしてこれから出てくるであろう選手たちのためにバレーボールを未来へつなぐためにも、まずは明日(1/13)に開かれる理事会で理事の大幅な入替を含む協会の刷新が行われ、バレーボールをプレーする場が広がっていくことに期待したいと思います。
※実際に理事会で行われた処分等についての記事はこちら