シンクロ攻撃の効果を上げるには?

今日からゴールデンウィークに突入、という方も多いと思います。
そしてバレーボール界でゴールデンウィークといえば、もちろん黒鷲旗!今年はどんな戦いが繰り広げられるか非常に楽しみです!
・・・と言いたいところですが、既にご存じのように新型コロナウイルスの影響で2年連続中止になってしまいました。毎年のことですが、この大会を最後にコートを去る選手も多いため、非常に残念です。
そんなわけで黒鷲旗に関する記事が書けませんので、トランジションの局面における話の続きを書こうかと思います。

以前、シンクロ攻撃 によって攻撃枚数を確保するためにはどうしたらいいのか、ということを「ネットの呪縛」「スタッカート助走、またの名をスライド・アシスト」で書きました。これは主に従来の日本バレーにおける マイナス・テンポ の弊害によって攻撃枚数が減ってしまうのをどうやって防止するか、ということに重点を置いていました。しかし、攻撃枚数さえ確保できればそれでいいのか、というともちろんそんなことはありません。
なぜならこういったプレーがどんどん行われるようになると、守備側もそれに対応して進化するからです。その一つがブロックの「デディケート・シフト」だという話も以前に書きました。
デディケート対応1リード・ブロック を前提として考えます。上図の場合、攻撃側から見ると相手ブロックは一見OPの攻撃に対して手薄に感じられますがそれでも採用されるのには理由があります。
リード・ブロックはトスが誰に上がったかを見てからそのアタッカーに対してブロックに跳ぶという、”後出しじゃんけん”です。これは攻撃の選択肢が多ければ多いほど、「誰に上がったか」を判断するのが難しくなる(=反応するのが遅くなる)ことを意味します。つまりセッター前には3つの選択肢があるので判断に時間がかかるのに対し、セッターの背後にはOP以外の選択肢がないので素早い反応が可能になります。結果として、手薄に見えるライト側の攻撃に対して相手MBのブロックがしっかりと追いかけてくるわけです。またセッター前に上がった場合には、判断に時間がかかるものの移動距離が短いため、やはりブロックが追いかけてくることになります。

このように相手が対応してくれば、攻撃側も当然次の手を考えなければなりません。
ではどのような攻撃をすることが効果的でしょうか。ここまで読んできてくださった方なら、少なくともおぼろげにはイメージが浮かんでいるのではないかと思います。

相手ブロックの反応を遅らせるためには、複数の選択肢のどれが正解かを見極める時間を必要とさせればいいわけです。つまりセッターの後ろからの攻撃を2枚にすれば、トスがセッターの前後どちらに上がってもブロッカーは複数の選択肢のどちらが正解かを見極めることが必要になり、どうしてもほんの一瞬(攻撃側にはこれが大事!)反応が遅れます。そのための考え方は基本的に2つあると思っています。
※その1 MBの攻撃をセッター背後に回す考え方
デディケート対応2※その2 後衛OHの攻撃をセッター背後に回す考え方
デディケート対応3どちらも相手ブロッカーが警戒しなければいけない選択肢を増やし反応を遅くする、という目的には叶えられています。とはいえ、ここからさらに「誰に上がったか」の判断を難しくさせることができれば、攻撃側はもっと有利になるわけです。そのためにはどうしたらいいのでしょうか。

実はそういったプレーは世界レベルでは遅くとも2014年頃から行われており、2年ほど前からはV.LEAGUEでも目にするのが珍しくなくなりました。こう書くと、ピンとくる方も結構いるのではないかと思います。次回はそれをテーマにする予定です。(※書きました→con man 8/4追記)